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2017年11月 3日 (金)

只今、水泳中毒中

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 イエスとノウは短くふたつにひとつ、余計なコメントには嘘が含まれる。イエスだけど、ノウだけどとは……ノウでない分むろんイエスではない。どっちつかずの答えの長い言い訳の先には、残念な意味すらある。まあ仕方がない時はそんな物だ。
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「そんなに泳いで、夜、痛み出さないか?」身障の男に聞きかれる。私は笑って首を振る。嘘をいうつもりもないが答えはイエスであり同時にノウだ。正確になんて言えない。聞くな、言葉で何か通じるなんて思えない。私ならたった今、スイマーズハイの最中だ。
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 もう1000m泳ぎたい。いや出来ることなら2000m、泳ぎ着くこの先には何もない。プールの中という、いつものココがあるだけ……米国のデンバーでは5万人マリファナ集会があるという。フリーのイベントに、行けば無料のマリファナが手渡される。
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 映画評論の町山智弘さんは、その取材に行くという。合法化されたとしてもマリファナが身障対策になる訳ではない。だが意図して水泳中毒になれば、やり過ぎという冷静な意識は冷め、まあいいではないか。良いは悪い、悪いが良いという事だってある……私が私をだます事だって。
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 素面でクルマで夕暮れを走れば、急激な冬に空気は冷える。この先は夜……こみ上げてくる眠気に負けないよう家路につく。部屋でエレパルスをかけフットマッサージャーをかけ、それからロキソニンテープをはりつけ、痛み止めも少し飲む。程度はともかく眠れば間違いなく痛む。
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 痛みその物はたいした事はないが、それは古い記憶につながる。発病時の記憶は悪い夢になって蘇る。症状が最悪化した時のこと……悪夢は足首から膝に向かい太腿へ、肩の辺りから別の生物が侵入してヤアとばかりに笑いかける。馴染んだ痛みだが不気味で好きにはなれない。
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 マリファナのように外から入れた薬物と、脳内で生育した物質では違うとされる。危機を免れるために危険物質を分泌する……人体のメカニズムについては確かな事を私は知らない。リハビリについて身障者仲間は否定的、冒頭に書いた人の意見が代表的です。
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 地震後、公的なプールがすべて閉鎖された。インストラクターは私営に行ったという。私はただイライラしながらコーヒーを飲んだ。苛立ちにはアルコールやニコチンのような強い禁断症状はないが、それでも水泳は中毒する。中毒感を取り込む。
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 スポーツは健全な趣味という。リハビリにスポーツを取り込んでいる。私の試みも健全なはずです。マリファナは米国のデンバーでは合法だが。むろん日本では禁止されている。薄い中毒性を逆手に取って、私は障害から自由に向かおうとして一度は失敗した。
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 もう1000m泳ぎたい。いや出来ることなら2000m、泳ぎ着く先には何もない。プールの中という、いつものココがあるだけ……少しだけ自由に歩かせろ。2,400m泳いだあとの水中歩行に、誰か私に話かける。あの身障の男ならもう返事はしない。
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 いや女性だ。時々見かける人で「どれだけ泳いだか」を聞いている。疲れているのか治療薬の副作用か、女性の声は音楽のように聞こえて意味は聞き取れない。水に、いや水泳に酔ったように私はちょっとだけ危ない。
――2キロです。
実際は2キロ400だが、400は勝手に四捨してしまう。健常な彼女にとって大差はない。
「わたしも2キロ、泳ぎたい」

 どうすればいいかト言外で聞かれた。なぜ彼女が2キロ泳げないのか。私の方が信じられない。どうにも普通に答えが出来ない。聞くな、言葉で何か通じるなんて思えない。私ならたった今、スイマーズハイの最中だ。
 なお翌日、彼女とはスーパー店内で偶然会い、連絡事項は伝えました。

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