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2016年11月16日 (水)

助手席のない車で

Siniacar

 高齢者の自動車事故が増えている。単純に高齢になったら、免許は返納すればいいのに……単に思うのでは思慮に欠けます。そうはいかないから厄介なのです。
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 簡単に人生を息子や娘にバトンタッチはできない。南側の部屋で盆栽いじってる訳にいかない。この老後は元気で長い。中年のように元気ではないが、時間的にはうんと長い。
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 というと体裁がいいが、息子の給料は安く、娘も簡単に結婚しないのです。昔より自立に時間がかかる。妻の病院から買物まで、老いた夫の仕事になっている。
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 そうなるとバスは不便でありタクシーは不経済です。シニアカーなんてものもあるが、あれはあれで危険を抱える。田んぼに落ちたり、線路に挟まったり……もうひとつ普及しない理由です。
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 再構築という。クルマという大きな道具を見直すと、個人の生き方、家族関係、近所関係、社会との関係に全部、見直しが必要になる。つまり広げるのは無理で圧縮しなければならない。
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 物の例えにいうと、ポルシェで突っ走って夕日を見に行く。それは夢で、実際には村上龍さんはベストセラーを書いてスポーツカーを買って……それでスピ-ド違反で捕まったそうです。
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 村上さんはいい方でF・サガンも印税でクルマ買っては事故る。ひどい怪我を負い、痛み止めの薬に中毒になって、中毒を治すのにまた苦労します。金や名誉を得れば幸福になれるか? 意外な結末の方が多い。
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 電動車椅子の背中に、ベンツのロゴを貼り付けた方を、お見掛けします。車椅子ではなくベンツに乗りたかった……そういう意味と思うが、ちと確かめ憎い。まあベンツもポルシェも大して変わりません。車椅子には夢を乗せる助手席はない。
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 コンビニの駐車場でベンツのドアを開けるおばさんを見かけます。昔に小林麻美さんがユーミンを歌って、そのプロモーションビデオを作っていました。古い夢を実現しても、おばさんはおばさん、小林麻美には見えません。
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 老いた夫ではない独身は、つまり私の事ですが、古い軽車でプールに通います。帰りには3キロのミカンと、桜木紫乃さんの小説と、バターピーナッツを買って帰ってくる……どれも200円です。その3つが助手席に乗っている。
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 若い頃に広げた夢を、誰もが縮めて老いていく。今は若い人が自分は短命に、人生をおしまいにする。私みたいはみっともないから?フンフン……そういう訳にはいかないでしょう。

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