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2016年9月14日 (水)

すみれの句

Sumire_2

 意味は定かでない、漱石の菫句は謎です。

「菫ほどな小さき人に生まれたし」

明治30年、熊本に来た漱石は子規に俳句の添削を受けており、この句は子規によって「な」を削って返送されます。
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「な」は字余りだから、四国方弁の必要ないからト、二つの理由が推定されます。漱石はもともと背の低い人で身長160センチほどでした。
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 これが翌明治31年に英国留学して、実際に大人国に行った小人のような、気分を味わう事になる。だがそれは詠んだ人も、まだ知らないことです。
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 漱石は2年の留学期間に精神的に不調を来たし帰ることになる。任務は重すぎた訳ですが、これを予言したようにも読めます。が、それもあるはずがない。
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 漱石にそういう超能力、予言力などはない。星菫派よろしく、ごく普通の光景を詠んだはずですが、この句に類例は見当たりませんなあ。
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 特定の女性を詠んだ句ではという説もあります。41年には短編「文鳥」があり、これと呼応する。つまり兄嫁説につながるという。だが結婚直後にそんな句を詠むかは怪しい。
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 今で言えば、まあスマホの連絡先をわざわざ明かすような、私ならしませんが……するとやはり謎の句になります。日本画家の堀文子さんが最近、この菫句を取り上げておられる。(サライ16年5月号)
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 小さな美しい花が自分の力でどこにでも自由に生きているト、堀さんは驚嘆されます。おお、鋭い画家の目線トお褒め申し上げます。菫はレンガの間の、ほんの隙間の土からさえ芽をふきます。
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 確かにその通り……だが申し上げます、いや言っていいのか? 私は嫌な性格で、なぜ菫だけがそう出来るか理由を知っている。菫の花だけ見ても、この理由は判りません。
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 菫の種に小さな砂糖が付いている。だから蟻は一族のために種の全体を巣に運びます。だが砂糖は少しで、全体は余分。蟻は砂糖をなめてしまうと種を自分たちのゴミ捨て場に運ぶことになる。
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 地上近い蟻のゴミ捨て場に根を張り、ゴミを栄養に菫は芽をふきます。蟻の力を借りる。蟻だけに有体にいえば騙す訳です。誰が菫に、そんな悪知恵を付けたのか?
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 レンガとレンガの間、ほんの隙間の土に見え、蟻の巣では十分な栄養が確保されます。菫は小さく見えるが、したたかで強い植物です。それもまた堀さんのいう自由の内なのか外なのか、そんなことまで私は知りません。
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菫いろ解釈めぐり虹の立つ

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