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2016年3月14日 (月)

燃えつきた地図 映画

Moe

「燃えつきた地図」は「砂の女」等と表裏をなす、疎外感をテーマとする安部公房の連作です。他人に関心を持てば際限なくまとわりつかれ、持たなければ孤立のハメになる。

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 失踪人を追えば暴力沙汰に巻き込まれ、その夫人と抜き差しならぬ関係に追い込まれる。追われる関係を調節し自己を保つ……ハードボイルドに似せた物語の、書き出しとエンディングは巧妙に重ね合わされる。

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  自殺をしたいほどの孤独感も、隣り合わせた人の性癖を見たとたん、ささやかな連帯に変わる。絶望の深さは希望の高さに、名前の無い猫の死体さえ、小さな意欲につながる。

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 私は若い頃、コウボリアンだった。この映画のポスターにも記憶がある。見たかったけど行けなかった。ポスター右下にある市原さんが勝さんの傷をナメまわすカット……玉緒さんとどっちだろう思った。

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 60年を超えて見たかった映画を観るのは不思議です。死ぬ前に観るという走馬灯に近い感覚があって、楽しいうれしいを超える。いわば非現実を感じる。

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 アスペルガー症で身障者だった私にはズバリのテーマだった。もっとも砂の女の方が判り易く、五木寛之さんの方が更に分かり良い。ただ五木トラウマに、私はすぐ食い足りなくなって行く。

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「なるほど」とか「そうですね」という相槌の打ち方が出てくる。会話の仕方は本作、今も面白い。ハミ出し者も性でつながるという話は、谷崎や川端と変わらない。そういえば箱男は性をどう処理していたか?

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「他人の顔」では脇で出てきたが市原悦子さんが「地図」メインになる。「顔」のメインは京マチ子さん、安部さん現実での好みは山口果林さんだった。ただこれは原作でも市原さんに近い丸顔の設定だった。

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 暴力でも性でもない、生きる意味の根底にあるものを前衛映画は捉え得たか? お伽噺のように静かな水際でお爺さんが少女に話しかける訳には行かなかったか? しきりとそんな感じがする。

●予告燃えつきた地図 https://www.youtube.com/watch?v=MgtpKS8OtoU

●本編燃えつきた地図 https://www.youtube.com/watch?v=VkScoBmwq9s

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