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2016年2月

2016年2月 9日 (火)

2万円の出金

 Iwamatu 昔の五木寛之さんの小説にトラウマを持ち、悪夢にうなされる主人公が出る。さすがに齢で症状は遠のいたが、実は私もそうだった。つまりギャーと叫んで飛び起きるのだ。

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「アタ、誰か殺して来たっじゃなか?」

 病室で半ば本気か、隣人はヒドい冗談を言った。夢で手術が長引いて麻酔が覚めかかると……そう説明というか、叫びの理由を答えた。

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 それで別な話だが、男の友人には結婚願望があって、何度か合コンに行ったらしい。結果は芳しくなく、

「やっぱり恋愛せんとイカン」そう感想を洩らした。

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 直接は言えなかったが、極端に自閉的な友人は、恋愛方向への実行は、無理と思われた。30分の禁煙も出来ず、行き場所も限られ、デート場所にさえ不自由したからだ。そして私も、自由だった訳でない。

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 ジャベールとジェラードの両警官に追われたのでは、むろん恋愛はできない。合コンも見合いもへったくれもあるものか。逃亡者よりましな環境で……芥川龍之介は漠然とした不安を逃れ、色事にのめり込んだ。

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 芥川の行為はそう解釈できない事もない……部分もある。こういう比較はあまりに恐れ多いが、得意と不得意は紙一重のときもある。戦争の不安の中、永井荷風も家族は持たず、その道のみ歩いた。

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 当時の五木の代表作「蒼ざめた馬を見よ」の馬とは、具体的には死神を意味する。芥川は自殺の形で不安から脱する。独身の自己を葬るという事で、こじつければ見合いや合コンにも自殺の意味がある。

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「愛の渦」のニート男は「布団を買え」と振り込まれた金を引き出し、乱パに行く。口座には残高もなく、ニートの心理は切迫する。親心を踏みにじる行為との解釈もあるが、それでは愛の渦は理解できない。

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 愛の渦は原初戯曲で2005年に初演された。その翌年、岸田國士戯曲賞を受賞し、15年近い公演期間を経て映画化もされた。つまり流行や風俗、思いつきで撮った映画ではない。

 ●画像はニート役の池松壮亮さん

2016年2月 8日 (月)

見当ちがい

Kadowaki

 乱交パーティを略して「乱パ」という。合同コンパを略して合コンいうのと同じ、珍しいことでもない……とはいえ乱パの方が、さすがに合コンよりは珍しい。

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 乱パに行った人は、行ったと名乗らないだろう。私も行ったことはない。協会も身障者合コンは主催はするが、乱パはしない……してないと思う。 「愛の渦」という映画は、その辺の珍しさが言われ、観たい女性は最初からいた。

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「hataさん新しく来る映画に行かない? まだ熊本に来てないみたいだけど……」 A子さんとは一度も映画を一緒していない。行くとすれば、それは最初になる。

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――何という? どういう内容かな? 誰が出るか調べくよ。  問い返すと返事にAの舌がもつれた。言語障害ではなく口ごもったのだが、言語障害とこもりの境目は私には判らない。

「ウーン……判らない」

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 判らない映画をなぜ観たがるのか? 一緒した事のない私をなぜ誘うか……奇妙な話です。Aは何か隠していると思った。そこに見当をつけようとした。

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 何か知らないけど、あんまり恋愛、恋愛な映画は女同士のお相手がいいと思うよト言った。だがAの返事は意外だった。

「……ポルノは、女同士はマズいよ」

私は笑い出し、それから先の見当は付けられなくなった。

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 それから半年後、youtubeで「愛の渦」を見つけAに連絡した。「愛の渦」は確かにyoutubeに出た。だが短期間に削除された。

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 Aは私に苦情めいていう。だが映画タイトルをはっきりしなかったのはAで、私はそれを勘で当てた。

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 障害者は病気によって酒好きな人はいる。スケベな人もいるが、病名をはっきり言うと差別になる。むろん男の方がスケベです。女性にもスケベはいるが、男の10分の1くらいでしかない。

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「愛の渦」内での乱パの会費は、男2万円女性2千円です。そう設定しなければパーティが成立しない。ではなぜ人はスケベになるか? 動機や需要はよく判らないが、こういう映画を観たい。

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 その思いも、いわばスケベ心であり、乱パに行きたい思いと、それほどは違わない……ト私は思う。youtubeを見損なったのら、レンタルDVDを借りればいい。

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 だがAはDVDは借りられないと言い出した。つまりポルノを借りるのは恥ずかしいトいう。確かに「愛の渦」はR18だが、ポルノというには当らない。題材はキワドいが、延々とベッドシーンがある訳ではない。

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 ベッドシーン前後のやり取り、身体にバスタオルだけを巻きつけ、誰としたい。実際にしたらドウコウいう会話が長い……それで翌日の朝までという内容だが、Aは何処に期待するのか?

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 その見当もつけようとしたが、私には見当もつかなかった。

●画像は「愛の渦」主演の門脇麦さん

2016年2月 7日 (日)

キヨ汚染

Yakuizon

「清原」ビッグネームの覚せい剤汚染のショックが強い。あれは14年になるか、その前の飛鳥涼氏の覚せい剤汚染と重なり、ビッグネームへの失望が深くなった。

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 そういった意味でニュースバリューが大きく、つまりガッカリ感がある。芸能への、プロスポーツとしての野球や相撲への失望も、また1つの希望を失さしめる。子供たちも夢の形の一角を失った。

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 比較の上ではサッカーの方がクリーンで、こうなってみるとゴルフも判らない。スポ-ツを通して人間が強くなったり、磨かれること事体に、いわば不信を感じる。

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 勝つためには卑怯はむろん、不法行為を犯して犯罪を厭わない。カネについてもクリーンな賞金ではなく、タニマチや贔屓筋、ウラ社会や暴力団とツルむ意味を帯びるからだ。

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 言っては何だが、もう少し小物のスキャンダルはいっぱいあった。小物ゆえ芸能界を食い詰めた、あるいはスポーツ界を食い詰めて……小物は小銭で賭博かよ。そう笑って済ましたいが、ビッグネームが重なるとそうはいかない。

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 巨人の現役投手が……去年はシャレにならなかった。元巨人の清原だったので、もっとシャレにならない。巨人内でもその旨のお達しが出た。2年前から捜査の長かった清原さんも、重罪にでもして頂くほか、何もない。

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 汚染と同時にはっきりしたのは清原氏の生活ぶりで、20代女性が関連する。これは以前の押尾某事件を想起させる。麻薬の相方が亡くなり、押尾氏は証拠隠滅を図り、死人に罪をなすりつけようとした。

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 清原氏の覚せい剤にも相方があった……のではないか。その容疑がかかる。昔の妻子と縁を切り、相方と薬に溺れたとすればだが、溺れ方の性質も悪い……噂だが両者のつながりも昔でている。

●画像は下記病院より。回生病院 http://www.kaisei-hpl.jp/sitetheme/drug.htm

2016年2月 1日 (月)

デザイナーベイビー ドラマ

Deza_2

 デザイナーベイビーはクローンとは違う。クローンベイビーより実現可能な、すでに一部行われている医療技術をデザイナーベイビーという。

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 ドラマ「わたしを離さないで」はどうやらクローンを話のタネにしたらしいが、「デザイナーベイビー」は岡井崇(医師)の原作。NHKドラマ10で黒木メイサの初刑事役ということで話題になった。(ただ原作にはない役)

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 サスペンスの面白さ、病院と患者、警察の上層部と警官の一人ひとり、思いと行動の食い違いを焙りだすという意味では1話が圧倒的な迫力で、完成度も高かった。以降、話はモッタリする。

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 だが問題意識は2話以後にあった。ほとんどの登場人物が中年から老年に入っていて、自分の人生をどう結論づけるか。のっぴきならない決済を要求される。好いた惚れた止まりの「わたしを離さないで」とは格が違った。

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 母が、いや男も自分の子供に寄せる思いはキリがない。背が高くて美しい。性格も良く頭もよく、ガンや悪い遺伝子も持たない……そんな赤ちゃんが欲しい。それは幻想、有り得ない事ではないか? 現実にない人間を作りたい。今、医療は幻想に向って出産医療を進行させている。

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 長所ばかりの短所のない子であれば、本人はもとより親も幸福ではないか? 親バカちゃんりん。そういう事もないのだが、私が言っても説得力がない……いや誰が言っても説得力がないので困る。

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 ガン遺伝子は不幸の元にしかならないのか、ならないのではないか? 一点だけクリアーにしても、まだ問題は残る。観念でいえば神の領域に踏み込んだ者は、後々までも神の答えを要求される。

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 例えばお兄ちゃんを助けるために作られた弟君は、自分のためには、もう生きられないのか。人権は兄にも弟にも平等ではないのか? また例えば、そんな金の掛かる医学を支えるのは金持ち自身か、それとも貧乏人も巻き込むか? 両者にとって平等とは何か。

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 こういった論議は、英国等では政治の場で行われた。そして許される事と許されない事が決議された。議決された事しか英国等では行われていない。だが国外で、禁止されてない国で研究は進んでいる。日本国内で試験管ベビーは作れないが、米国に行けば可能……それと同じ様相になる。

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 事実上、医学の進歩というか、科学の発展は止められない。身障者は不幸だろうか。幸福にはなれないのか? すでに健常者たちは不幸と判断し、そのような方向で医学を進めようとする。つまり遺伝的な身体障害は出産医療で、すでに排除できるのだが、日本では何の論議もないまま……進行していく。