« スマートブラ | メイン | セッションズ 映画 »

2013年12月 8日 (日)

今でしょ! 小説

021050勉強を「いつやるか? 今でしょう」と自問自答します。受験勉強だけではなく時間の把握には今しかなく、明日はおろかほんの1時間先さえも見えない。厳しいことを言うとだが今しかない。

.

「今でしょ」は、東進ハイスクール現代文講師、林修(はやしおさむ)先生の言葉で、2013年新語・流行語大賞を受賞された。受験はそうだが人生の時間、お互いはもう少し余裕で捕らえてもバスには乗り遅れない。

.

バスに乗り遅れ、汽車や電車に遅れ、大学試験を逃したドジな友人を知っています。高卒の友人はその時とっさに頭を切り替え、バッティングセンターにバットを振りに行き、家族には何食わぬ顔をしていたと言う。

.

若い時の時間をたたんで一年かそこら、大事にサイフの中にしまえるのならいいが、そうはいかない。その時の時間はその時しか使えない。受験生には大事なことは受験しかないが、そうでない者には時間の対象はいっぱいある。

.

いや人にもよるのか? バスの窓から団地のひしめく窓を見ていると思う。百人百様とはいうけれど人間は同じようにしか生きない。時間をたたんで仕舞えないのが不思議なほど均一に生きている。

.

私はバスの座席に座り、サイフから取り出した札のシワを伸ばしている。高額な札の紙幣ナンバー、それが有効期限てないことを確認している。札を車掌に渡すと車掌は札と私を見比べ「この証明は1年間使えます」という。

.

車掌が返した札は、いつの間にか青い証明に変わっている。私は「これ違い……」と言いかけ、サイフに仕舞いこんでいた物と思い出す。私は20代の頃の1年分を使い残し忘れていました。

.

降り立った街には大学があり、ちょうど受験の受付中で……つまり私は友人の乗りそびれた、あのバスに乗った訳で、しかも試験を受ける事になっている訳で、受付係に受験番号を問われる所でした。

.

私は私なのか、どこかで高卒の友人に入れ替わったのか。窓際の席について机の上のテストをめくる。その答案用紙に友人の名前を書いて、問題を読んで答えを書き込んでいく。この試験に通れば友人は別な生き方が出来るものなのか?

.

試験が終ったので、私は校門を出た公衆電話の前で立ち止まります。代理試験を受けた事を友人に告げるべきか否か、少し迷って何も言わない事にします。道をあぐねて友人が行ったというバッティングセンターに行くことにする。

.

それから私は気がつく……代理ではない私自身を生きなければならないト思う。受験の今は代行も出来るが、自分は簡単には決められない。気がつくと私はバスに乗っています。どこで降りる訳でもなくただバスを乗り続ける。

.

蒼ざめた切符、いや蒼い証明書には友人の名などではなく、間違いのない自分の名が書いてある。陰が差して少し暗くなった私の前にはバスの車掌が立っていて、こう聞いた。「降りるのですか?」

.

席をはじかれた私はそのままバスを降りてしまう。バス停の先の知らない街と知らない家並み、私が自分である他は何の手掛かりもなく、ほとんど途方に暮れます。そういえばそろそろ時間も夕暮れてきた。

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.blog.bbiq.jp/t/trackback/394232/31990263

今でしょ! 小説を参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿