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2013年4月23日 (火)

柔らかな頬 2

Yswaraka桐野夏生さんの文章は、文語的表現こそ少ないが、読みやすくはない。意図的に省略したのか、ただ雑に書かれ損ねたか、主語がないので解釈に迷い読み返す……そういう事は2、3度ではない。特にラストにかかると、もう推敲が雑ですネ。

 

読み始めるとすぐ判る。この物語にはまともな結末は付けられまいト思うのです。何がまともで何がヤクザか、そのどこからどこまでがそうか? それは自分に聞いてみるといい。カスミの娘、有香を誘拐したのは実はカスミ本人だったり……

 

あるいは犯行が、愛人の石川だったり夫の森脇だったり……そういった物語に伴なう合理的な意味づけ。これは出来まいト、何となく判ってしまう。少しはっきり言えば、カスミはよく判らない理由で故郷を捨て、親子の縁を切ってしまう。

 

いえカスミの両親自体が物語には登場しません。都会に行ったカスミはよく判らない理由で森脇と結婚を決める。その結婚が失敗であり、その結果としての二人の娘を捨てる気で石川にのめり込む……それは現実の重さではなくゲームの軽さに似ている。

 

会社に出入りする男、石川とカスミとの関係は、エレベータで始まります。先にエレベータに石川がいて、後で乗り込むカスミの方からキスをする。エレベータのドアが閉まる……ずっと後になって説明されるが、石川はホストのようなハンサムだと。

 

つまり安っぽい、もっと言えばカスミは何をしたいのか判らない。若いからそうなのではなく、娘を2人作った後もカスミは基本的に変わりません。終バスで故郷を出るように今の生活を、娘たちさえも捨てようとする。まるで軽いじゃないか。

 

カギはカスミが高卒の学歴しかなく免許を取る訳でもない。荒涼とした恵庭付近の風景は、どこかで見た気はするがむろん何処とも似ていない。ああ、阿蘇一角の火山風景とか文学の嵐が丘とか、そういうのとは別に願います。

 

カスミは文化的な事には関心がない。男と音楽を聞いたり映画演劇を行くことはない。自分を広げようとする訳ではない。つまりセックスにしか関心がない……二人は単調に限られ、その結果も早くに見えてしまう。

 

主人公のカスミはむろん一人です。物語にはカスミに似た人物が何人か登場する石山の妻、典子もまあ似ている。それより和泉の妻、蔦枝は20才も若く見え、水島という愛人を持つ。、蔦枝は、男と男の間に収まり、侵入者であるカスミを警戒、嫉妬します。

 二組の三角関係、その合わせ鏡の間の世界では、性がすべてである所の、怪しい風景が広がる。その最中に小さなカスミに生き写しである少女、有香は忽然と神隠しのように姿を消す……ヤレヤレ、もう少し、柔らかな頬の話を書きましょう。

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