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2009年5月23日 (土)

カセットテープの時代

Kasseto カセットデッキを変えたので、テープを取っ替え引っ換え聞きます。90年代前半くらいはウォークマンプロという外出用プレイヤーと、家ではリバースデッキを平行して使いました。この時分はNHKも陰りが見えず、録音番組も多くあります。

92年5月に、宮沢明子さんのモーツァルトコンサートの放送があります。その時のエアチェク・テープから、若くバリバリの宮沢さんが甦って来ます。ロンド、イ短調K511だって……宮沢さんはその後にキラキラ星を弾くのです。

モーツァルトには二面性があります。その両面を出そうと宮沢さんは意識する……で、この選曲になると思います。生まれたままの子供のようなモーツァルトと、人間の限界を見ているようなモーツァルトの両方がいます。

宮沢さんは二面性を明晰に位置付けようとする。内田光子さんのは時期は判りませんが同じ頃でしょう。情熱に燃え上がるモーツァルト像を演奏します。この解釈、どちらも面白い。これもライブからの録音放送と思われ、客席から咳が聞こえます。

20年近い時間をまたぐとエアチェック時の記憶は無論ありません。覚えていません。宮沢さんが気に入ったのは20代後半からで、内田さんがよくなったのは30代後半からのような気がします。それが、このデッキで聞くと手に取るように鮮やかに聞こえる。

20代の私と30代の私が、やあと脇に立つような感覚に驚きます。時代が移り、デッキを作った会社はもう作りません。それどころかカセット自体もほぼ無くなり、この音だけが録音した時より鮮やかに聞こえる。奇妙なことです。

老人のセンチメントをもう少し……この90年代前半の社会で、いじめがキーワードと思います。尾崎豊さんが怪死、完全自殺マニュアルが話題になります。女性は結婚後も娘時代と同じような生き方をするようになる。

マディソン郡の橋がベストセラーになるのは、94年です。女性が母親を拒否したように、男も父親を拒否していた。あるいは仕事と役割に熱中し、人間をも拒否しようとしたか……このカセットデッキは当時、定価が八万五千円、実売は七万円弱くらいです。

特殊なヘッドを開発した赤井電機は消耗品ではないテープレコーダー、デッキを作った会社です。エアチェックする、つまりCD代を浮かす道具としては高すぎる。奇妙なバブルの形でしょうね。消耗しないデッキを作ったアカイは赤字経営後、三菱に吸収されて終ります。

買い換えの必要ないデッキは高級化するしか方向がない。アンプより高価というデッキは、CDとMDとMP3の普及によって消滅に追い込まれる。人間のあり方と重なる部分があって、そこが面白いと思うのです。

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