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2008年10月30日 (木)

青猫 萩原朔太郎

BOOK0FFに朔太郎の「青猫」復刻本があったので買います。萩原さんはしげしげ読んだ事がなく、これで大正モダニズムの端っ子でも読み取れるかと思うわけです。内容は基本的に死の感触が重要で、生臭い魚との匂いというように鼻から表現されます。

草むらの風とか柳を吹いてくる風というのも、風にはウエイトがなくて草むら柳にアクセントを置いて読みます。風に匂いがあって気持ちがよくない。立原道造さんの作品内の風と違うのは、嫌悪感を伴うからでしょう。

萩原さんの「艶めかしい墓場」という詩に吹く風は、柳を通して吹きます。川辺の宿、湿気の多い風で性交後の虚脱感の詩です。本当に海辺、なめくじや魚の腐った匂いがしたのか、知りませんが、そう書く事で情事のけだるさと死と合わせて表現します。

立原さんは性交を直接には題材にしなくて、草陰で自慰の詩がありました。恋人との逢瀬の詩もあります。情事という意味では似たようなものです。それでも夕すげ人とは、恋人の女性の意味、どこか性交を伴わない関係を思わせる。

そこらに違いがあります。ただ性交の後が生臭いではチト合い方にも失礼ではないか。大正ロマンの世界では湯の出るシャワー設備が、川辺の宿にあるはずもなく、いかなるモダニズムも今と比較すると経済格差があります。

夕方に、ゆうすげ人は黄色い帯を締め、黄色いすげ花の間の道を帰って行く。その様は妖精じみて感じられる。性交がなかった保証はむろん、ありません。ただ感性がいかにも若く将来に感じられる。風は明日から吹いてくるように、ようにさえ感じられます。

少し後の時代にはなりますがシャワーの設備は、これもなかったと思われます。平たくいえば萩原さんはやる事やっても心が晴れない。立原さんはしたかどうか知りませんが、いつまでも別れたくない。夭折の人で死の匂いもないことは、ない。近くまた会えると思いたい。その気持ちが風の色を変えているのです。

2人でいれば、将来が展開し時間は別な意味を繰り広げる。そのように感じるから恋人達は別れたくない。どんな家庭を作ろうかと子供は出来るだろうとか、思いを馳せる。一方どちらにも帰る家と、待ってる人がある設定かトなると……

たとえば粘りつく自分の体液がうっとうしく感じられる。萩原さんの貴女はどんな人なのか、その辺は何も書いてないのですが、タイトルで墓場という。はかばかしくないのでしょう。風の色の違いは人生の色さえ変えて吹く。

モダニズムの頃、この本の価格は2円です。いえBOOKOFFでの本の中古価格は、もっと高かったと言うべきか時代の波と何も言わざるべきか。読者の部屋のそばには風呂やシャワーの設備はありますか? 今時、ネットカフェにもシャワーくらいはありますが、愛に将来は今もない。

それどころか異性の相手がいないと嘆く人もいます……私はフランス綴じのページをめくって朔太郎を読む。私? 匂いますか? あ、それはコーヒーです。生臭い魚の匂いなんて、しませんでしょう!

写真、右が本、左は箱。
萩原 1886―1942 開業医の長子、19年結婚29年離婚、2子あり。再婚。
立原 1914−39 祖先は水戸藩の儒家、長男

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コメント

こんばんは♪早速、リンクしていただき、ありがとうございました。朔太郎ですか。純文学や詩集、あまり手を出していないんですよね。でも、hataさんの記事から、“風”の雰囲気が伝わってきましたよ。私は、せいぜい宮沢賢治どまりで、どちらかというと天体物理学(カールセーガン「コスモス」や、ホーキング「宇宙を語る」など)やサイエンスフィクション、紀行文などばかりでした。では、また。

あ、そういえば賢治もありましたねえ。「注文の多い料理店」の復刻本は見ただけでした。ツバメさんに関しては紹介記事を考えたのですが、……理解を越えています(笑)ただ、びっくり!ご覧の皆様、行って見て下さい。この世界の延長に三菱アイはあるのか!確かにコンセプトカーみたいな所あります。ウチのアイには魔女宅のキキとか、トトロが乗ってますよ。バッテリーは、まだ変えなくてもよさそうです。

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